イフ外語学院院長の著者は、20年間に約4000名のハーバード、スタンフォードなどの大学院への出願書類において、カバーレター、履歴書、将来のキャリアに関するエッセイ、業績のアピールの表現方法をアドバイスしてきたという。そのなかで、日本人には「国際社会で自己を宣伝(PROMOTE)しなければならないという意識と手法が不足している」という思いが著者に生まれ、それがこの「戦略的英文履歴書」という表題につながった。そこで、第1章は「戦略的英文履歴書の必要性」に始まり、個性を履歴書にどう反映させるのか、デザインの重要性など、英文履歴書のノウハウというよりは、自分のキャリアをどうとらえ、どう表現するのかがメインに書かれている。英文履歴書だけでなく、日本語で職務経歴書を作成する場合にも役に立つだろう。第2章以降、英文履歴書の書き方の詳細にはいるが、ここにも「PROMOTEすべき」という著者の意図が表れ、技能や能力をアピールする表現が数多く例示されている。職種別のほか、「リーダーシップ」、「交渉力」、「地域、国際経済への貢献」など担当した役割をアピールする表現方法まで言及し、実用性が高い。英文履歴書のケーススタディも、ただ模範例を出すのではなく、日本人が実際に作った事例を出し、それに著者が評価を加え、修正した模範例を再度掲載する形をとる。自分が書いたものと照らし合わせると「英語ではこんな表現をするのか」と気付くはずだ。初めて英文履歴書を書く人よりは、書いたものをさらにブラッシュアップしたいという人におすすめの一冊だ。(入倉由理子)
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